エンジニア必読:名著『狂気と群衆』から学ぶ「バブル」のメカニズム
Memoirs of Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds (1852)
Memoirs of Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds (1852)
1852年出版の古典的名著『Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds(異常な人気という妄想と群衆の狂気)』を紹介します。現代のテック市場におけるハイプサイクルやバブル現象を理解する上で、この本ほど本質を突いたものはありません。技術者や投資家が陥りやすい「集団心理」というバグを理解するために、ぜひ一度手に取ってみることをおすすめします。
今、投資家たちはレバレッジを効かせたり借金をしてまでAI株に突っ込んでいるらしいね…
心理学の入門クラスは、これまで受けた授業の中で一番価値があったな。自分の認識や思考がいかに合理的で正確な現実の反映だと思っていたか、その思い込みを根本から粉砕してくれたから。もちろん、それ以前から「人間」がいかに非合理的になり得るかは知っていたつもりだけど、どこかで自分だけは別だと思っていたんだよね。
素晴らしい本だよね。個人的に一番面白かったのは、サウスシー・バブル(元祖バブルだ!)の最中にロンドンで店を出した起業家の話。「極めて有利な事業、ただし内容は誰にも教えない」という名目で投資を募ったやつ。みんな何日も並んで金をつぎ込んだのに、結局その男はそのまま消えて二度と姿を見せなかったっていう。まさに詐欺の極み!
似たような文脈だと、経済学者のJohn Kenneth Galbraithが書いた本があるよ。何世紀にもわたる金融バブルと、市場における集団の非合理的な心理についてまとめられている。タイトルは『A Short History of Financial Euphoria』[1]。短くて読みやすくて面白いよ。
[1] https://www.goodreads.com/en/book/show/270746.A_Short_Histor... (https://www.goodreads.com/en/book/show/270746.A_Short_History_of_Financial_Euphoria)
面白い本だけど、チューリップ・バブルの話はかなり脚色や誇張、扇情的な表現が含まれていることで有名だよ[1]。効率的市場仮説を信じる人たちは当然この話を好まないし、Mackayが描いているような規模で実際に起きたという証拠はあまりないみたいだね。
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Tulip_mania#Modern_views (https://en.wikipedia.org/wiki/Tulip_mania#Modern_views)
面白いことに、『Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds』の著者であるCharles Mackay自身が、当時「鉄道バブル(Railway Mania)」[0]を煽っていた張本人なんだよね。「人々に鉄道への投資を促し、懸念を示す者を馬鹿にしていた」とか、「過去のバブルを嘲笑って有名になった割には、自分自身が膨らませる手助けをした遥かに深刻なバブルについては口をつぐんでいた」なんて言われている[1]。
[0] https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1927396 (https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1927396)
[1] https://www.bbc.com/news/business-51311368 (https://www.bbc.com/news/business-51311368)
それに経済バブルにつきものなのがモラル・パニックだよね。これまで何度も見てきたけど、結局同じようなものさ。
経済狂乱について、もっと最近で信頼できる本を探しているなら、William QuinnとJohn D. Turnerの『Boom and Bust: A Global History of Financial Bubbles』をおすすめするよ。
https://www.goodreads.com/book/show/48989633-boom-and-bust (https://www.goodreads.com/book/show/48989633-boom-and-bust)
同じ系列で素晴らしい本といえば、Bergen Evansの『The Natural History of Nonsense』(1946年)も外せないね。
レビュー - https://www.goodreads.com/book/show/375107.The_Natural_Histo... (https://www.goodreads.com/book/show/375107.The_Natural_History_of_Nonsense)
Pdf - https://tzmvirginia.wordpress.com/wp-content/uploads/2013/12... (https://tzmvirginia.wordpress.com/wp-content/uploads/2013/12/evans-the-natural-history-of-nonsense.pdf)
抜粋:
「この本はナンセンスの自然史への寄与である。妄想の古生物学の研究であり、スターダスト(夢物語)アレルギーの人への抗体でもある。また、土の足を持つ者たちのための足のケアマニュアルでもある。
…
本書は、常識という愉快な大義に参加する新兵のためのハンドブックを意図している。無知の大軍がどこに陣を敷いているかを示し、どこの守備隊が手薄か、あるいは反乱を起こしているかを暗号で伝える。隠れ場所や偽装の仕方、潜入と撤退のテクニックを指南する。道路封鎖や地雷原を地図に記し、ブービートラップの仕掛け方も教える。対諜報活動に警戒を促し、暗号で『愚か者を見分ける5つの確実な兆候』を伝授する。新兵が読み終えたとき、この本を壁の向こうの敵の兵舎へ投げ込めるはずだ。脱走を促すことだってあるかもしれない。」